3月2日(土)に予定されている読書会「寺村会」の予習として、手持ちの辞書で「よく」の意味を調べてみます。

とりあえず『基礎日本語辞典』(森田良行)を基準にしてみます。
[一]困難な事柄を遂行したことに対する評価
(1)肯定的な評価
1 この作文はよく書けていますね。(産物)
2 子ども一人でよく東京まで出て来られたね。(行為)
(2)否定的な評価
お世辞がよくあんなに言えるものだね
[二]行為・作用のおこなわれ方の説明
(1)行為・作用の完全さを表す場合
1 このズボンをよく洗ってください。(意志)
2 この薬はよく効く。(非意志)
(2)行為・作用の頻繁さを表す場合
小さい時はよく泣いた子だった。
項目は「評価」と「おこなわれ方」の2つ。それぞれに小項目が2つあるので、4つですが、肯定的評価は(産物)と(行為)に分けられ、「行為・作用の完全さ」は、(意志)と(非意志)に分けられると(犬山は思うので)、6つに分けてみることにします。上記。
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で、他の辞書を見ると、これとピッタリ対応しているのが、『デジタル大辞林』で、以下のように。第一の項目には「念を入れて」を置いていいます。例文は上記の『基礎日本語辞典』のものを割り振ってみました。
1 「念を入れて、十分に」
・このズボンをよく洗ってください。
2 「程度がはなはなだしい、非常に」
・この薬はよく効く。
3 「条件にふさわしい、巧みに」
・この作文はよく書けていますね。
4 「喜ばしい結果」
・子ども一人でよく東京まで出て来られたね。
5 「非難」
・お世辞がよくあんなに言えるものだね
6 「何度も」
・小さい時はよく泣いた子だった。
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次に『三省堂国語辞典』(第六版)は7つの項目に。
『基礎日本語』の「行為・作用のおこなわれ方」は意志・非意志をまとめて一つ、ただ「肯定評価」の行為完遂を2つに分けている。そして「頻繁さ」を2つに分けているところは興味深い。
1 「じゅうぶんに」
・このズボンをよく洗ってください。
・この薬はよく効く。
2 「じょうずに、うまく」
・この作文はよく書けていますね。
3 *「感心・感謝などの好ましいと思う気持ち」
*よく言ってくれた
7 「立派に」
・子ども一人でよく東京まで出て来られたね。
6 「非難する」
・お世辞がよくあんなに言えるものだね
4 「どうかすると、すぐ」
・小さい時はよく泣いた子だった。
5 *「たびたび」
*よく見られる現象
* *
次に『新明解』(第五版)は、上記と比べると、ざっくり3つの項目で済ませている。
1「能力を十分に発揮して、そうすることを表す」
・この作文はよく書けていますね。
・このズボンをよく洗ってください。
・この薬はよく効く。
2 「何かの機会につけ、それをする(そうである)ことが多いことを表す」
・小さい時はよく泣いた子だった。
3 「(相手の)行為が結果的に望ましいことであったという気持ちを表す。[反語的にも使う]」
・子ども一人でよく東京まで出て来られたね。
・お世辞がよくあんなに言えるものだね。
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とりあえず、ここまで。のちほど追加予定。2024年2月28日