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寺村会(20240302)の予習 「よく」の意味

· 寺村会

 

3月2日(土)に予定されている読書会「寺村会」の予習として、手持ちの辞書で「よく」の意味を調べてみます。

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とりあえず『基礎日本語辞典』(森田良行)を基準にしてみます。

[一]困難な事柄を遂行したことに対する評価

(1)肯定的な評価

  1 この作文はよく書けていますね。(産物)

  2 子ども一人でよく東京まで出て来られたね。(行為)

(2)否定的な評価

  お世辞がよくあんなに言えるものだね

[二]行為・作用のおこなわれ方の説明

(1)行為・作用の完全さを表す場合

  1 このズボンをよく洗ってください。(意志)

  2 この薬はよく効く。(非意志)

(2)行為・作用の頻繁さを表す場合

  小さい時はよく泣いた子だった。

項目は「評価」と「おこなわれ方」の2つ。それぞれに小項目が2つあるので、4つですが、肯定的評価は(産物)と(行為)に分けられ、「行為・作用の完全さ」は、(意志)と(非意志)に分けられると(犬山は思うので)、6つに分けてみることにします。上記。

  *  *

 で、他の辞書を見ると、これとピッタリ対応しているのが、『デジタル大辞林』で、以下のように。第一の項目には「念を入れて」を置いていいます。例文は上記の『基礎日本語辞典』のものを割り振ってみました。

1 「念を入れて、十分に」

  ・このズボンをよく洗ってください。

2 「程度がはなはなだしい、非常に」

  ・この薬はよく効く。

3 「条件にふさわしい、巧みに」

  ・この作文はよく書けていますね。

4 「喜ばしい結果」

  ・子ども一人でよく東京まで出て来られたね。

5 「非難」

  ・お世辞がよくあんなに言えるものだね

6 「何度も」

  ・小さい時はよく泣いた子だった。

  * *

次に『三省堂国語辞典』(第六版)は7つの項目に。

『基礎日本語』の「行為・作用のおこなわれ方」は意志・非意志をまとめて一つ、ただ「肯定評価」の行為完遂を2つに分けている。そして「頻繁さ」を2つに分けているところは興味深い。

1 「じゅうぶんに」

  ・このズボンをよく洗ってください。

  ・この薬はよく効く。

2 「じょうずに、うまく」

  ・この作文はよく書けていますね。

3 *「感心・感謝などの好ましいと思う気持ち」

  *よく言ってくれた

7 「立派に」

  ・子ども一人でよく東京まで出て来られたね。

6 「非難する」

  ・お世辞がよくあんなに言えるものだね

4 「どうかすると、すぐ」

  ・小さい時はよく泣いた子だった。

5 *「たびたび」

  *よく見られる現象

 * *

次に『新明解』(第五版)は、上記と比べると、ざっくり3つの項目で済ませている。

1「能力を十分に発揮して、そうすることを表す」

  ・この作文はよく書けていますね。

  ・このズボンをよく洗ってください。

  ・この薬はよく効く。

2 「何かの機会につけ、それをする(そうである)ことが多いことを表す」

  ・小さい時はよく泣いた子だった。

3 「(相手の)行為が結果的に望ましいことであったという気持ちを表す。[反語的にも使う]」

  ・子ども一人でよく東京まで出て来られたね。

  ・お世辞がよくあんなに言えるものだね。

 * *

とりあえず、ここまで。のちほど追加予定。2024年2月28日