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【台中日本語教師勉強会】第95回報告

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【台中日本語教師勉強会】第95回の報告

李琴峰氏 講演会 -台中から日本語の最先端へ-

今回は「台中在住の日本語教師」が出てくる小説を書いた小説家のお話を、

我々「台中在住の日本語教師」が聞くという会でした。

その小説とは第161回芥川賞候補となった『五つ数えれば三日月が』。

そして、書いたのは台湾出身の作家、李琴峰(り・ことみ)さん。

李さんは、家族に日本語母語話者がいたわけでも、幼少期から日本で育ったわけでもありません。

台湾の中学生時代に独学で日本語の勉強を開始し、そこからご自身の努力で日本語で文学作品を書くまでになられています。

彼女の日本語学習法、また母語でない言語での創作活動についてお話を伺いました。

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以下は参加された方の感想です。

《参加者の感想》

■ YOさんの感想

李さんの講演を実際にお聞きして、日本語ネイティブと言っても信じてしまうほど、ほぼ100%完璧な日本語で驚かされました。15歳から日本語学習を始められて小説で賞が取れるまでのレベルになるまでの過程についてお話いただき、そこが私の知りたいことでもあったので、とても勉強になりました。高校生の頃に書かれた日本語作文の中には表現の不備があったり、高3時点ではN3程度のレベルだったというあたりは、李さんも一歩一歩学習を積み重ねられてきたのだということがわかりましたし、一方、表現の幅を広げるべくたくさんの努力をされていたというところについては、普通の学習者は手が回らない部分だと思うので、そのあたりが一般の学習者との日本語力の点で差がついてきた部分だろうと思いました。
後半のお話についても、今後日本語を教えるにあたって意識すべき点のヒントをいただきました。
小説も今読み進めていますが、日台両方の文化の中で生き、両方の言語、文学の深い知識があるからこその表現、視点が随所に見られ、李さんならではの唯一無二の世界観の小説だと思います。大変興味深く、読ませていただいています。ありがとうございました。今後のご活躍をお祈りしております。

 *

■ Yさんの感想
貴重なお話を聞かせていただきまして、誠にありがとうございました。
李先生が作家(言葉のプロ)になるまでどのように日本語を学ばれてきたのかを知りたいと思い、参加させていただきましたが、今回の講演は日本語教師という仕事や自身の考えを見直す良い機会となりました。

学習者に正しい文法を教えることは日本語教師としての大切な仕事の一つですが、言葉というのは自由なもので、同じ日本人でも、人によって表現の仕方は様々です。
「どんな言葉を使うかはその人の個性だ」というお言葉を聞いて、自分は今まで教えてきた学生の皆さんの個性を奪ってこなかったかと恐怖を覚えました。

学生が話したり書いたりする際、必要であれば訂正や修正を加えています。
文法的に正しい正しくないというのを教えることは必要なことですが、自身の行動がその学生の個性を殺してしまう恐れがあることに気づかされました。

どんな言葉をどんな表現を使うかはその人の個性であり、
学習者のその個性や可能性を伸ばせるような教師になれるよう、努めていきたいと強く思いました。

  *

■ 後藤さんの感想
今回の講演会をきっかけに、素晴らしい作品を読むことができて、まずはそれが収穫でした。
先生の作品の中で、とりわけ漢詩が心に響くものがありましたが、その点について聞くことができたのも、とても良かったと思いました。
多言語を使いこなす方法を垣間見れたような気がしました。

 

  *


■ 林さんの感想
台湾出身で若くて、日本の文学賞を受けたのに感服しました。
日本語を勉強した経歴を聞いて、さすが文学と語学のセンスがある作家だと思いました。
好きで、興味を持つことこそ、語学が上手になるコツだと思います。いかに学習者のその言語に対する興味を引き出すのかが、語学教育に従事する我々の課題です。
日本語は中国語とは深い関連があります。中国語+台湾語が母国語である自分は今後より多く両言語の繋がりとおもしろさを学習者と共に探し出し、より面白い語学環境を作っていこうと思います。
日本語で一日一言を書くことも学習上には役に立つだと思います。これからもやっていきたいです。

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